与党で改選議席の過半数を獲得したことは、周知のとおりである。
今回は、この選挙における公明党の得票数等について論じる。
今回の選挙戦では、山本太郎氏が立ち上げたれいわ新選組から、沖縄の創価学会員、野
原善正氏が、公明党の山口代表と同じ東京選挙区から立候補したことが話題となった。
野原氏は、自身が創価学会員であることを前面に打ち出した。そして、自民党に追随し
て池田大作の平和主義から離れてしまっているとして、公明党を批判した。
6年前、東京選挙区から立候補して66万票以上を獲得して当選した山本太郎氏が、今回
は比例で立候補したことから、野原氏が山本氏の票をどの程度取り込めるか、また、創価
学会票を切り崩すことができるかが注目された。
(総務省公表資料に基づき作成)
(NHK選挙WEBに基づき作成)
今回と前々回の東京選挙区の開票結果を比較してみると、公明党の山口代表は、1万7千
以上も票を上積みして当選しており、6年前と同様、創価学会票を手堅く獲得したものと
思われる。
一方、野原氏の得票数は21万4千票あまりで、落選という結果になった。
この結果は、健闘したと言えなくもないだろうが、彼が創価学会員であることを公言し
ていたために、6年前は山本氏に投票した有権者の大部分からは敬遠されたのではないか
と思われる。創価学会票の切り崩しも、大きな成果を上げたとは言い難い。
野原氏の立候補が契機となり、与党であるが故に、安全保障などで現実主義的政策を追
認せざるを得ない公明党に反旗を翻す創価学会員が、もっと多く出るのではないかという
淡い期待を、私個人としては抱いていたのだが、残念ながらそれは空振りに終わったよう
である。
認せざるを得ない公明党に反旗を翻す創価学会員が、もっと多く出るのではないかという
淡い期待を、私個人としては抱いていたのだが、残念ながらそれは空振りに終わったよう
である。
だが、比例区の開票結果は、公明党の集票力が目に見えて落ちていることを示すものと
なった。
参議院選挙における公明党得票数等の推移
※ 絶対得票率(%)= 得票数 ÷ 有権者総数
(総務省公表資料に基づき作成)
今回、公明党は比例区では、約654万票しか獲得できなかった。これは前回よりも100万
以上も少ない数字である。過去最多得票だった平成16年(2004年)と比較すると、200万
以上の減少となる。
以上の減少となる。
この減少は、今回の参院選の投票率が低迷したことだけでは説明できない。
平成19年から平成28年までの4回の参議院選挙では、投票率の増減にかかわらず、公明
党の得票数・絶対得票率は、さほど大きく変動していない。
平成22年と平成25年を比較すると、全体の投票率は5%以上も落ち込んでいるにもかか
わらず、公明党の絶対得票率は0.07%減少しただけだった。
それが今回、公明党の絶対得票率は、前回から0.96%の減少となった。
最強の集票マシーンと呼ばれてきた創価学会だが、近年、活動家の高齢化が進んでいる
ともいわれる。
また、インターネット上での創価学会の悪評は、根強いものがある。学会員の家庭に生
まれ育った者でも、創価学会・公明党を避ける傾向が広まっているのかもしれない。
こうした背景から、F票を獲得する力が落ちてきているのではないだろうか。
議席の上では、公明党は今回の選挙では勝ったと言えるだろう。
だが、比例での公明党得票数の減少は、遠からぬ将来、国会で現在の勢力を維持できな