多くの信者を獲得しているのが、ほとんどの日本人にとって近くて遠い国、韓国である。
もともと創価学会は、日本がまだ貧しかった戦後間もない頃に「病気が治る」「商売が
繁昌する」などのご利益を説いて急拡大した新興宗教である。
その当時、現世利益を重視し、しかも日本の伝統宗教を敵視する教義に惹かれて、多く
の在日韓国人・朝鮮人が創価学会に入信した。
そうした在日の中から祖国に帰国した者が、かの地でも熱心に布教活動に取り組んだこ
ともあって、多くの入信者を獲得した。現在では一時期と較べると減少したものの、それ
でも約50万人の勢力を擁しているという。
だが、そこにいたる道筋は平坦ではなかった。反日が「国是」とまでいわれる韓国で、
日本発祥の創価学会もまた、激しい敵意を向けられ、軍事政権から禁教扱いをされた時期
もあった。
弾圧を受けたことへの対応としてか、創価学会はかの国の国民感情をくみ、極端なまで
の低姿勢を取るようになった。
創価学会の機関紙、聖教新聞では「日本と韓国」について言及する場合、「日韓」では
なく「韓日」という表現が長らく用いられてきた。これは、日本国内の学会員の中に多く
いる在日韓国人への配慮だったのであろうが、本国の韓国人の歓心を買いたいという思惑
もあったはずである。そうした例を以下に示す。
『聖教新聞』平成10年(1998年)5月20日付
記事は創価学会が「韓日友好の碑」を九州に、「韓日友好研修道場」を韓国の済州島に
建設すると述べている。
済州島に建設予定の「韓日友好研修道場」が「韓日」なのは分かるが、福岡県糸島市に
ある創価学会福岡研修道場に設置の「友好の碑」までもが「韓日」なのは異様である。
平成12年(2000年)に開かれた、日本と韓国の創価学会の代表者の会合について述べた
記事も「韓日」なのは一貫している。
『聖教新聞』平成12年(2000年)5月22日付
この会合は、一応、日本発祥の宗教である創価学会が本邦で開催し、日本国内で発行さ
れた聖教新聞がそれを報じたものである。それでも「韓日友好代表者会議」なのである。
この会議の席で池田大作が行ったスピーチは、学会員ではない者も含め、多くの韓国人
を感激させたという。一部を引用する。
> 韓国は、日本にとって「文化大恩」の「兄の国」である。「師匠の国」なのである。
> その大恩を踏みにじり、貴国を侵略したのが日本であった。ゆえに、私は、永遠に貴
> 国に罪滅ぼしをしていく決心である。最大限の礼をもって、永遠に貴国と友情を結び、
> 貴国の発展に尽くしていく決心である。
池田大作の韓国への媚びへつらいは、言葉だけに留まるものではなかった。
創価学会・公明党は、在日韓国人への参政権付与に熱心に取り組んでいるが、そのこと
についての「創価学会関係者」の証言を、週刊新潮から引用する。
> 「もともと、学会には在日韓国人が多い。戦後、差別意識が強かった時代、彼らは貧
> しい生活を強いられていて、入信も多かったんです。在日学会員に参政権が与えられ
> れば、当然、公明票も増える。熱心になるわけですよ」
> 特に池田大作名誉会長はこの問題に力を入れていたという。
> 「98年に金大中大統領が来日した時、韓国SGI(創価学会インタナショナル)の当
> 地での布教活動を許してくれるように学会側が頼み、その引き換えに在日韓国人の地
> 位向上と参政権法案の実現を約束したといわれています。それだけにSGIの会長で
> もある池田名誉会長は、なみなみならぬ熱意をもってやってきたんです」
(『週刊新潮』2009年2月19日号より引用)
この他にも韓国SGIは、慰安婦問題や竹島問題での署名運動などの反日活動にも熱心
に取り組み、それが評価されて韓国内に根を張るようになった。
その結果、日本の小選挙区と同様に、かの地でも選挙においてキャスティングボート的
な影響力を行使しうるまでになったという。再び週刊新潮から、韓国の宗教事情に詳しい
という釜山の東西大学教授、李元範氏の証言を引用する。
> 「過去の大統領選を見ると、金大中は三十九万票差、盧武鉉は五十七万票差、朴槿恵
> でも百八万票差での勝利でした。つまり、『学会員五十万人』の票が動けば、大きな
> 影響力を発揮できる。地域間の対立が根深い韓国において、全国一律の強い結束力を
> 持つ宗教はSGI以外にありません。日本で公明党を成功させたノウハウもあるので、
> 韓国でも選挙のプロはSGIの動向を常に注視しています」
(『週刊新潮』2014年9月11日号より引用)
韓国SGIは最盛期には百万人近い会員がいたものの、創価学会が日蓮正宗から破門さ
れたことによる混乱から、大きく信者数を減らしたが、それでも重要な国政選挙において
無視できない勢力であり続けているのである。
韓国においても小さからぬ政治力を持つようになったことに慢心してか、池田大作は彼
の数ある問題発言の中でも、屈指の妄言を吐いている。
> 「実は、韓国の大統領は、私が決めるんです」
> 一九九五(平成7)年十月十四日、イギリスの国営放送・BBCは、人気ニュース
> ドキュメンタリー番組『アサイメント』で、「THE CHANTING MILLIONS(百万遍
> の題目)」と題して日本の創価学会を特集し、池田大作創価学会名誉会長のインタビ
> ューを放映した。
> この池田インタビューは、同年七月六日、東京・信濃町にある聖教新聞社で行われ
> たもの。その席上、池田氏はBBCのスタッフに対し、突然、「これはオフレコです
> が」と前置きした上で、韓国の大統領は自分が決めると豪語し、一同を驚かせたとい
> う。
(『現代』2000年10月号より引用)
※ 1995年時点で直近の韓国大統領選挙は1992年に実施されており、金泳三が次点の
金大中に193万票あまりの差をつけて当選している。
この時点では、韓国SGIの信者数は最盛期の百万に近かったと見られる。これは
推測になるが、どちらか、あるいは両陣営から、創価学会に対して選挙協力の打診が
あり、それが池田に過剰な自信を抱かせたのかもしれない。
表では韓国を「兄の国」「師匠の国」と呼んでおきながら、裏では「韓国の大統領は私
が決める」とのたまう。いかにも池田センセイらしい逸話である。
下手に出ることで人の好意を得ることを得意としているという池田だが、学会員たちに
自らを「本仏」として崇拝させるように仕向けてきたことからも明らかなように、本心で
は自分以外の人間すべてを見下しているのであろう。
このような人物が支配してきた創価学会が政治的影響力を発揮し、日韓関係にも悪影響
を及ぼしていることは、日本にとっても、韓国にとっても不幸なことではないだろうか。
参考文献
乙骨正生著「池田大作・創価学会 韓国折伏四十年史」(『現代』2000年10月号所収)
常井健一著「韓国創価学会『反日活動』の記録」(『週刊新潮』2014年9月11日号所収)