2017年7月4日火曜日

都議会選挙の結果について

 7月2日に投開票が行われた東京都議会選挙では、小池都知事率いる都民ファーストの会
が圧勝し、自民党は歴史的な惨敗を喫した。

 そして公明党は、相変わらず手堅く全候補者を当選させた。今回の選挙結果について、
都の選挙管理委員会事務局が公表したデータに基づき、簡単な分析を試みてみたいと思
う。まず、当選者数が近い3党について、比較する。

 自民党  当選者数 ― 23(人) 得票数 ― 1,260,101(票)
 公明党  当選者数 ― 23(人) 得票数 ―  734,697(票)
 共産党  当選者数 ― 19(人) 得票数 ―  773,722(票)

 上記3党の中では、公明党の得票数が最も少ないが、50万票以上多く得票した自民党と
同数の候補者を当選させている。しかも、共産党よりも得票数が少ないにもかかわらず、
当選者は多い。

 この数字から、創価学会・公明党が非常に効率的に選挙戦を実行したことが見てとれる。
有権者の総数、投票率、自党の獲得見込み票数を、かなりの精度で予測し、当選可能な数
だけを立候補させ、学会員をF取りに動員した成果であろう。

 中央の指示のもと、党全体にとって最適の戦略を、一糸乱れず遂行する能力は見事であ
るが、一方で個を完全に抑圧する全体主義的な統制が機能しているともいえよう。

 公明党の得票数からいえることが、もう一つある。選挙管理委員会によると、投票日当
日の有権者総数は、11,081,157人だったという。つまり公明党は、全有権者の6.6%の票
で、都議会の定数127議席の約18%を占める議席を獲得したのである。

 公明党の得票数は、他党と違い、ほほすべてが組織票だと考えられる。投票率が上がっ
たとしても、公明党に票を投じる創価学会員が増えることはない。公明党の支持者は、イ
コール創価学会員であり、彼らが世間一般と思想信条において、大きく立場を異にしてい
ることは論をまたない。

 社会との等質性に乏しい異質な少数者の意見が、過剰に代表されることは、民主主義の
健全性にとって脅威となりかねない。

 都民ファーストの会が躍進したとはいっても、単独で過半数を制したわけではなく、公
明党が行使するキャスティングボートが、都議会でも大きな意味を持つことになる。

 今回の選挙で自民党が大敗した一因には、「都議会のドン」が陰で権勢を振るい、都政
を利権化してきたことへの批判票が、都民ファーストの会に向かったことがあると思われ
るが、先代の「都議会のドン」藤井富雄氏がいまだに顧問としてのさばる公明党に、都議
会のキャスティングボートを与えてしまったことは、小池都知事が推進しようとする都政
改革にとって、大きな障害となる懸念があるのではないだろうか。

 創価学会・公明党が、その実勢を大きく上回る影響力を行使可能だったたのは、投票率
が低いために、必ず選挙に行く彼らの組織票が効果を上げてきたからである。

 参考までに、今回の選挙で公明党候補の苦戦が伝えられていた、豊島区の選挙結果に基
づき、投票率の上昇が公明党候補の当落にどう影響するかを説明する。豊島区(定数:3)
の投票率は、50.12%で各候補の得票数は、以下のとおりであった。

当 本橋ひろたか(都民ファーストの会)44,556
当 長橋 けい一(公明党)      20,381
当 米 倉 春 奈(日本共産党)    20,139
落 堀 こうどう(自由民主党)    18,647
落 泉谷 つよし(民進党)       7,825
   合 計             111,548

 仮に投票率が55%で、増加分の票が公明党以外の候補に、今回の得票数に応じた割合で
配分されたならば、選挙の当落は次のようになると試算される。

当 本橋ひろたか(都民ファーストの会)49,864
当 米 倉 春 奈(日本共産党)    22,538
当 堀 こうどう(自由民主党)    20,868
落 長橋 けい一(公明党)      20,381
落 泉谷 つよし(民進党)       8,757
   合 計             122,408

 この試算では、投票率がもう5%ほど高ければ、公明党候補が落選し、かわりに自民党候
補が当選していたことになる。

 上記は、公明党が実際に獲得した票は、学会員が限界までF取りに励んだ成果で、投票
率が上がっても、公明党への投票はこれ以上増えないという仮定に基づく試算に過ぎない。
しかし、そう無理のある仮定ではないと思う。

 反社会的カルトが政治に過剰な影響を及ぼし、行政を私物化する悪夢の実現を阻むため
には、有権者がもっと政治に関心を持ち、投票という権利をよく考えて行使することが最
善なのである。

 創価学会は「総体革命」と称する権力への浸透工作を、いまだに断念していない。日本
を彼らの思うままにさせないためには、有権者すなわち日本国民の意思と行動が必要であ
ることを、一人でも多くの方に認識していただきたい。