2019年6月9日日曜日

新聞啓蒙とマイ聖教

 池田大作は聖教新聞を「広宣流布のミサイル」と呼んだ。このことからも明らかなよう
に、創価学会は機関紙である聖教新聞の購読者を増やすことを、布教の手段として重視し
てきた。

 一方で聖教新聞は、宗教法人創価学会の収益事業の中核でもある。公称発行部数の550
万部が事実ならば、月一部1,934円の購読料の1年間の累計は、1,276億円にもなる。

 ※ 誤解している人も多いが、宗教法人であっても収益事業に対しては、一般企業より
  は低い税率ではあるが法人税が課される。

 また、聖教新聞の印刷は毎日新聞をはじめとする一般紙が請け負っており、それらの新
聞社にとっては、重要な収益源となっている。創価学会から見れば、マスコミを懐柔する
手段でもあるのだ。

 こうした事情から、学会員たちは聖教新聞の拡販運動に駆り立てられてきた(創価学会
では拡販とは呼ばず「新聞啓蒙」という)。

 聖教新聞販売店を経営するのは、多くの場合、地元の学会幹部であり、配達員のほとん
どは、池田大作が「無冠の友」と呼ぶ末端の学会員である。

 かつては配達員は無給だったが、現在ではわずかだが報酬が支払われている。
 一方、新聞啓蒙は、創価学会の活動家たちが現在でも無報酬で行っている。

 創価学会では、聖教新聞の配達と啓蒙も功徳になる仏道修行とされており、多くの学会
員はご利益があると信じて、そうした活動を行っているのである。

 新聞啓蒙の本来の目的は、外部の人に新たに聖教新聞の読者になってもらい、それをき
っかけとして入信させることだった。

 しかしながら、実際のところ、一般人にカルトの新聞を購読するメリットはない(聖教
新聞は購読者に景品を贈呈するなどの方法で、拡販を行うことはない)。

 商売上のつながり等から、購読に応じざるを得ない例も少なからずあったであろうが、
それにも限りがあり、外部を標的とした新聞啓蒙は、成果を上げにくくなっていった。

 そうした背景から、創価学会の内部を標的として、新聞啓蒙が行われるようになった。
 それが「マイ聖教運動」である。


>  『聖教新聞』の公称部数が多いのは、一家で2部以上購入するよう暗黙のルールが
> あるわけではなく、活動家一人ひとりが信仰を学ぶために「自分用の聖教新聞」を1
> 部購読する「マイ聖教運動」というものがあるからだと思います。実際、私が実家に
> 住んでいた時には家族4人が一人1部購読し、それ以外に友人への贈呈用として1部
> 取っていたので、あわせて5部購入していました。
>  また知り合いの学会員の中には、『新・人間革命』や池田先生の指導を切り抜いて
> スクラップにして研鑚するために一人で2部以上購読している人もいました。
 (野口裕介 他著『実名告発 創価学会』)

 ※ ご存知の方も多いと思うが、『実名告発 創価学会』の著者らはいずれも創価学会の
  元本部職員だったが、どこの民間企業・官公庁であっても「組織人として問題あり」
  と見なされるような騒動をひき起こし、解雇・除名された。
   にもかかわらず、創価学会を擁護しているのである。いじらしいことである。


 創価学会を擁護する側の論理では、「マイ聖教」は教義の勉強用に家族の一人ひとりが
聖教新聞を購読する必要があるためということだが、外部の人間に言わせてもらえば、過
大なノルマを達成するために、組織内に負担を強いているようにしか見えない。

 言ってしまえば「自爆営業」と何ら変わらない。
 実際、「一人で1部」どころか、10部以上を購読している例もあったという。


>  さらに、こういう依頼を受けることもあります。ある地方議員から、
> 「『一般の学会員でも聖教新聞を10部とる人がいるのだから、あなたたち、選挙も応
> 援してあげたんだし、議員は50部とるのは当たり前よ』と学会婦人部から言われて困
> っているんだ。私は特定の新聞を大量に購入すると、それは政治家の寄付行為を禁止
> する公職選挙法に違反するおそれもあるので、と説明しても婦人部は納得してくれな
> い。福本さん、中央の創価学会幹部にも実情を訴えてくれませんか」
>  という、公明党ならではの陳情も何度か受けました。
>  国会議員の場合は、地元の創価学会組織から、「聖教新聞をとりなさい」という陳
> 情はありません。しかし、その議員秘書の多くが創価学会幹部クラスなため、「事務
> 所で聖教新聞を多数とるべきですよ。啓蒙(拡販)期間なので」
>  と、言ってくることもしばしばありました。こういうことで、聖教新聞の販売ノル
> マを達成しているわけです。
 (福本潤一著『創価学会・公明党「金と品位」』)

 ※ 著者の福本氏は、元公明党参議院議員である。


 ノルマ達成のため、聖教新聞の拡販期間だけ幹部が多部数購読し、期間が終わるとまた
購読部数を減らすということも行われているらしい。

 現在、聖教新聞社の新社屋「世界聖教会館」が、今年の創立記念日(11月18日)での落
成を目指して工事中だが、そのためか、今年は聖教新聞の拡販に特に力を入れるそうであ
る。創価学会のサイトにも、今年の目標として以下の記述がある。


> 「世界聖教会館」の完成を目指して、皆で聖教新聞の拡大に挑戦しよう。特に下半期
> は、聖教拡大に挑戦するメンバーを増やしながら、「新規購読」「長期購読」の輪を
> 広げていこう。


 わざわざ「長期購読」を目標にしているのは、短期間しか購読しない者、すなわちノル
マ達成のために、一時的に購読部数を増やすだけの者が少なくないからであろう。

 どう見ても「マイ聖教」は搾取でしかないし、過剰な拡販ノルマも末端組織を疲弊させ
ているようである。

 だいたい、同じ新聞を一家庭で何部も購読するなど、考えるまでもなく金の無駄だ。
 こういうバカげた慣行があるから、創価学会は頭がおかしいカルトだと世間から思われ
ているのである。

 当初、一応はもっともらしい理屈をつけられていた「マイ聖教」だが、さほど時を経ず
して「聖教新聞は池田先生からのお手紙なので、多くとるとそれだけ功徳になり福運がつ
く(つまり現世利益がある)」と、池田大作への個人崇拝で正当化されるようになったと
いう。

 池田大作を「末法の御本仏」と崇拝する者が多い創価学会の活動家に対しては、この方
が効果的なのかもしれないが、外部の一般人が聞けば、ほぼ確実に異様な印象を受けるは
ずである。

 熱心に折伏を行う学会員は現在でも多いが、創価学会のようなカルトに入って、人生を
無駄にしたい一般人などまずいない。普通の人の理解を得たいのなら、まず学会員が常識
を取り戻すことが先決であろう。

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