創価学会の毎年恒例の金集め、財務が今月末から始まる。すでに多く学会員が振込用紙
を兼ねた広布部員証を受け取っていることであろう。
学会員の財務への意欲を盛り上げるため、聖教新聞でもその意義が強調されている。今
月12日付には「御書に学ぶ御供養の精神」と題された、教学の特集記事が掲載された。
〈一部抜粋〉
> 広宣流布のために供養する真心は、必ず大きな福徳となって、自分自身だけでなく、
> 三世にわたって一家一族をも包み込んでいくことは間違いありません。
> 世界広布が進む今、一閻浮提広宣流布を現実のものとする学会への真心の供養は、
> 平和と幸福の光を世界に広げていくことになるのです。
(『聖教新聞』2019年〔令和元年〕11月12日付)
この記事には「池田先生の指導から」として、『新・人間革命』第四巻から、供養の意
義を説いた箇所が引用されていた。
> 学会が推進する供養、財務は、すべて日蓮大聖人の御遺命である広宣流布のための
> ものである。大聖人の立てられた大願を成就するために行う供養は、御本仏への供養
> に通じよう。ならば、これに勝る供養もなければ、大善もない。ゆえに、これに勝る
> 大功徳もないはずである。
創価学会の財務を、唯一の正法である日蓮仏法を世界に広めるためのものと純真に信じ
ている学会員も、もちろんいるのであろう。
しかし、多額の金が動くこの機会に乗じて、良からぬことを企てる輩もいるようである。
今月20日付に掲載された原田会長の指導の一部に、過去に問題があったことを示唆する
記述があった。当該箇所を以下に引く。
> 一、いよいよ今月28日からは、財務納金が始まります。御聖訓に「供養し給ういづ
> れも・いづれも功徳に・ならざるはなし」(御書1098ページ)と仰せの通り、総本部
> が着々と整備され、創立90周年、さらには100周年へと、世界広布が勢いを増す中で、
> それを支える財務の功徳は計り知れません。
> 世間では、架空請求のハガキやSNS・メールが届くなど、年々、詐欺事件が巧妙
> になっています。改めて確認すれば、振込用紙に記載された振込先が変わることはあ
> りませんし、財務を誰かが預かるようなことも決してありません。
> 絶対無事故で、福徳あふれる財務となるよう真剣に祈りながら、本年の総仕上げを
> 飾っていきたい。
(『聖教新聞』2019年〔令和元年〕11月20日付)
原田会長の言葉からは、「振込用紙に記載された振込先が変わった」と偽って金を騙し
取ろうとしたり、高齢者等に「代わりに振り込んでおく」などと言って金を預かり、その
まま着服しようとしたりした者が、過去にいたのであろうことが読み取れる。
30年ほど前まで、財務は振り込みではなく現金で集められていたそうだが、その当時は
どれほどの不正がはびこっていたのだろうか……。
仮に財務に便乗した詐欺がなかったとしても、私のような不信心者からすれば、そもそ
も創価学会の財務は職業幹部の高給やゼネコンから票を買って権力を維持することを目的
としたもので、それに崇高な宗教的意義があるように説くこと自体、インチキである。
財務から高給を受け取っている原田会長をはじめとする本部職員には、「功徳」は間違
いなくあるのだろうが、金を貢ぐ一方の末端信者には「功徳」も「福徳」もありはしない
のだ。ただの搾取とどう違うと言うのだろう。
財務の欺瞞については、これまでに多くの批判者が言及している。
前回、創価学会の会館建設には、裏金作りという隠された役割があることを述べたが、
財務で集められた莫大な金も、その一部は裏金になっていたという。
> ある現役の学会幹部が絶対匿名を条件に明かす。
> 「会員から集まった財務などは最終的には三菱銀行(現・東京三菱銀行)の学会
> 本部の口座に入るわけですが、そのうち、オモテの金となる一般会計にいくら入れ
> るかは、池田のツルの一声で決まる。で、池田の指示を受けた学会本部の経理局長
> が三菱銀行のお偉いさんのところに行って、最終的に『じゃあ、今回は○億円を一
> 般会計に入れます』と話をつけてくるわけです」
(古川利明著『システムとしての創価学会=公明党』)
裏金にはこの他にも公明党議員からの上納金である「P献金」などがあり、その使途
は池田大作の個人的な蓄財――税務申告などしていない不正な蓄財――や、池田が海外
の要人と会ったり名誉学位等を手に入れたりするための工作費用だったという。
池田が健在だったころは、彼が創価学会の金も人事もすべてを掌握していたというが、
現在はどうなのだろう。
今年、原田会長の任期が満了するのにあわせて、新たな会長として谷川佳樹氏が選ば
れるのではないかとの予想もあったが、実際には全会一致で原田氏が再任された。
ことが巨額の金と権力が関係する重要人事である以上、水面下で闘争があったのではな
いかと考えたくなるが、実情は杳として知れない。
こうしたことは往時であれば週刊誌等の格好のネタだったはずだが、かつては薄給だ
った本部職員が高給取りになり、情報をリークする者が少なくなった事や、出版産業が
斜陽化する中で無視できないスポンサーとなった創価学会への忖度が背景となって、創
価学会の内部事情に関する報道は、以前より確実に少なくなっている。
公明党が政権与党に入り込み、しかも自民党との政策のすり合わせは公明党の頭越し
に創価学会首脳部が行っていると言われる現在、創価学会の動向が持つ意味はかつてよ
り大きくなっているにもかかわらず……。
創価学会のような得体の知れないカルトが、一般国民のあずかり知らないところで国
政に影響力を行使することが好ましいことのはずがない。
このカルトの影響力の源泉は、その集票力と資金力にある。財務に疑問を持つ学会員
が増えることは、間違いなく創価学会の力を削ぎ、社会を健全化する一助になる。
学会員の皆さんには、「真心の供養」だと信じてきた財務が、実は犯罪の温床になっ
たり裏金作りや不正蓄財に利用されたりしてきた現実を直視し、そんなものが本当に功
徳や福運をもたらすかどうか、是非とも自分の頭で考えていただきたいと思う。