2019年10月13日日曜日

日蓮正宗はカルトです

 前回、日蓮正宗の教義を示すために引用した『正しい宗教と信仰』(日蓮正宗布教研修
会編)には、「折伏弘教の手びき」という副題がつけられている。このことからも明らか
なように、同書は布教用のマニュアルとして執筆されている。

 その中には「日蓮正宗以外の宗教は、人間を苦悩の底につき落とす悪法」といった記述
もあり、さすが創価学会・顕正会の母体になっただけはあると感心させられる。

 また、他の宗教について「一見してインチキとわかるような宗教がたくさんあります」
と述べ、その例として「煙に触れるだけで無病息災になると説く宗教など」を挙げている
箇所もある。

 このようなマジナイには科学的な根拠がなく、効果など期待できないことについては、
私にも異論はない。だが、日蓮正宗にそのような批判をする資格があるのだろうか。

 当ブログでも以前ふれたが、日蓮正宗には「御秘符」と称するマジナイがある。これは
「法主の祈念が込められている」という食紅を飲むことで、病気が治る等のご利益がある
というものである。

 日蓮正宗に言わせると、煙に触れることで無病息災を祈ることは、「一見してインチキ」
だが、食紅を飲んで病気が治ると称するマジナイはそうではないらしい。

 多くの宗教は科学が未発達の前近代に起源を持っており、その中には現在では非科学的
と見られるような要素も少なからずある。しかしそれには致し方のない面もあり、特に害
のないものであれば、それらを「非科学的な迷信」としてあげつらう必要があるとは、少
なくとも私は思わない(積極的に宣揚しようとも思わないが)。

 だが日蓮正宗のように、自分たちがやっていることを棚に上げて、他の宗教を批判する
独善的な連中には強い嫌悪を感じる。

 そう遠くない過去に、「護符」と称して紙切れを飲むマジナイを大々的にやっていたに
もかかわらず、「他の宗教は非科学的」と言っている創価学会と日蓮正宗とは、似たり寄
ったりのカルトだと言えよう(そもそも両者は同根なのだから当然ではあるが)。

 日蓮正宗も、一応は伝統ある宗派の一つである。それにもかかわらず、他の伝統宗教と
比較して、首を傾げたくなる点が少なくない(創価学会や顕正会との関係を別にしてもそ
うである)。

 どの伝統宗派にも宗学というものがあり、宗祖の本来の教えがどのようなものだったか
を研究し、その伝統を守ろうとしている。

 例えば日蓮宗であれば、立正大学を設立して日蓮の思想について研究したり、その成果
として『昭和定本日蓮聖人遺文』等、学術的にも権威を認められている書籍を出版したり
している。

 しかし日蓮正宗は、『産湯相承事』をはじめとする後世に作られた偽書を核として「日
蓮本仏論」のような本来の日蓮の教えから乖離した教義を構築し、他の日蓮系宗派までも
邪教呼ばわりし続けているのである。

 日蓮正宗は他の伝統宗派よりも、いかがわしい新興宗教の方により近しい存在であると
言わざるを得ない。こういう胡散臭さが同類を招き寄せ、創価学会や顕正会を生む下地と
なったのではないかと思われる。


 以上、辛辣な見方を示しはしたものの、私は日蓮正宗が創価学会とまったく同じ程度に
危険で反社会的なカルトとまでは思わない(今のところは、ややマシだと思う)。

 創価学会員が「鳥居をくぐると地獄に堕ちる」と称して、神社に近づこうとしないこと
はよく知られた話であり、彼らの独善性を証明する事実でもある。

 学会員が神社を敵視する背景には、日蓮正宗から受け継いだ教義があるが、古くから日
蓮正宗の檀徒だった家系には、実際には神社に参拝する者も少なくないという。

 こうした事実から、日蓮正宗が独善的な傾向を強めたのは、創価学会から影響を受けた
結果ではないかとも考えられるのである。そのことを示す事例を以下に述べる。

 日本の伝統仏教には、地蔵信仰や観音信仰など、完全に土着化して習俗の一部となって
いる一面もある。

 現在の日蓮正宗の教義ではこうした信仰は「謗法」とされているが、日蓮正宗の信者が
地蔵信仰等について、昔から一貫して否定していたというわけではない。

 福島県会津坂下町にある日蓮正宗寺院・妙福寺には古くから地蔵堂があり、地元の人々
から篤く信仰されていた。

 ところが昭和28年(1953年)、妙福寺住職であった久保川法章氏が、この地蔵を謗法で
あるとして取り除こうとしたことから、信徒との間で争いが起こった。この際、創価学会
が久保川氏を支持したことから、問題が大きくなったという。

 この事件は、地蔵堂を妙福寺から切り離すことで決着したが、地蔵信仰を守ろうとした
古くからの妙福寺檀徒も、日蓮正宗から離れることになった。

 この出来事は『人間革命』第七巻にも描かれている(『人間革命』では、久保川法章氏
は「久川源章」として登場する)。

 『人間革命』によれば、久保川氏が昭和28年になって教義を厳格に解釈し、古くからの
地蔵信仰を敵視するようになったのは、創価学会員に影響されてのことのようである。

 このエピソードは「正しい信仰に目覚めた僧侶が、創価学会と協力して謗法に立ち向か
う美談」といった調子で『人間革命』には書かれていたが、現在市販されている聖教ワイ
ド文庫版『人間革命』からは削除されている。

 久保川氏が、後に創価学会に対して批判的な正信会に移ったことから、「美談」ではな
くなったということなのだろう。


 日蓮正宗の在家信者団体は「法華講」と呼ばれる。創価学会や顕正会も、かつては法華
講の一つだった。

 法華講の中でも、特に折伏を熱心に行っているのが妙観講である。元学会員も多く所属
していることから、創価学会と同様の体質を持っているらしい。

 昨今、創価学会を脱会して日蓮正宗の法華講員になる者も多いという。創価学会が弱体
化するのは結構なことだが、その結果として日蓮正宗のカルト的傾向が助長され、創価学
会と大差ない集団になってしまっては困りものである。

 実際、『正しい宗教と信仰』(日蓮正宗布教研修会編)は、その構成・内容が創価学会
がかつて出版していた『折伏教典』と類似しており、参照して執筆されたと見られる。

 創価学会は、カルトの害悪を日本社会に振りまいてきた。現在、彼らは衰退しつつある
が、その過程で別の問題を引き起こす可能性も否定できない。

 幸福の科学に入信した元学会員が、カルトの手口を伝授したのではないかという疑いも
あるのだ(「憧れの池田センセイ」参照)。

 こうしたことを踏まえて考えると、創価学会だけでなく、日蓮正宗や顕正会など、他の
カルトの動向もあわせて警戒する必要があるのかもしれない。 

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