※ 本稿は前回(創価学会の金集め①)の補足です。
前回引用した一節にある「海外会員からの約八億円の金」が、その後どうなったかにつ
いて補足する(重複するが、以下に再度引用する)。
> また、海外会員からの約八億円の金も、正本堂関係に全く使われていない。現地の銀
> 行から先はその行方も不明である。
(山崎正友著『懺悔の告発』より引用)
平成元年(1989年)6月30日、横浜市のゴミ処分場に捨てられてた古金庫から、一億七千
万円の現金が見つかった。この事件は、各紙が一面で報道し、大きな話題となった。
翌日の聖教新聞も、「寸鉄」というコラム欄で、「今度は廃品金庫から一億七〇〇〇万
円。ゴミの中から。欲ボケ社会の戯画か縮図か」などと批判的に取り上げた。
しかし、この金庫の出所は、創価学会の関連企業、日本図書輸送であることが早々と特
定され、7月3日には、日本図書輸送の社長とともに、学会幹部、中西治雄氏が記者会見を
開いた。
中西氏は、自分が副業で土産物屋を経営し、儲けを脱税した金だと説明した。だが、中
西氏は〝創価学会の金庫番〟といわれた人物であり、この説明は当初から疑問視されてい
た。
中西氏は、古くから池田大作名誉会長の側近であり、当時の学会では、金に関すること
では、会長(当時)の秋谷氏以上の実権を持つとみられていた。
当然、金庫から見つかった一億七千万円も、池田氏の裏金でないか、中西氏がかばって
ウソの証言をしたのではないかと取り沙汰された。
その後も、真相は明らかにならず、この事件の報道も次第に減っていった。だが、信憑
性にいくぶん難のある匿名での証言ではあるが、この金の出所が述べられた本がある。ジ
ャーナリスト、永島雪夫氏の著書『創価学会 池田王国の崩壊』である。
この本は平成4年(1992年)に出版され、学会副会長を名乗る人物の証言が掲載されてい
る。それによると、事件の金は正本堂建立を名目として、アメリカで集められた金が出所
だという。アメリカからの金は、一時期、沖縄(当時アメリカ施政下)に、ドルで貯めら
れていた。
池田氏は、この金を自分の海外旅行の費用に使いこんでいたが、沖縄の経理部長は、正
本堂の建立のために集めた金を、池田氏が使うのはおかしいと申し立てたという。
しかし、学会内で池田氏に立てつく者の例に漏れず、この経理部長もクビになり、池田
氏の資金流用が表沙汰になることはなかった。
とはいうものの、問題が大きくなることを恐れて、残りの金は日本に移すことになった
という。日本に持ち込むに際には、不正な送金手段がとられ、国内で日本円に両替された。
この金を、中西氏が金庫に入れたまま、それを失念し、学会関連企業の日本図書輸送が
中味を知らずに廃棄して、騒動になったわけである。
中西氏は日頃から、〝創価学会の金庫番〟として、あまりに巨額の金を動かしていたの
で、この金のことは事件になるまで、すっかり忘れてしまっていたらしい。
これが事実なら、裏金説が正しかったことになる。繰り返すが、この証言はあくまで匿
名でなされたものなので、どこまで信頼すべきか、判断に難しい。
私個人としては、当事者でなければ知り得ないことを、詳しく述べているので、説得力
があると感じた。少なくとも中西氏が副業で儲けた金という説明よりは、信憑性があると
思う。
中西氏はその後、創価学会を離れ、日蓮正宗の信者になったという。もし彼が暴露本を
書けば、大変な内容になると思われるが、彼自身、裏金を扱う過程で、池田氏の容認のも
と、巨利を得ていたらしいので、それは難しいようである。