2019年8月11日日曜日

F取りの実態2 ― 戸別訪問 ―

 創価学会は建て前としては宗教団体であるが、実態としては政治団体といっても過言で
はない。唱題や勤行などの普通の意味での宗教活動以上に、選挙運動に力を入れている。

 前回述べたように、創価学会は選挙運動に宗教的な意味づけを行っており、学会員はご
利益があると信じて、公明党を応援してきた。

 また、当ブログで以前取り上げたように、創価学会には法律や道徳を軽視する教義が存
在する(『反社会的な教義』参照)。

 こうしたことが背景となり、創価学会は組織を挙げて悪質な選挙違反を行ってきた。
 創価学会の選挙の実態について、本部の副婦人部長を務めた経験がある信平信子氏が証
言している(信平氏は、池田大作のレイプを告発したことで知られている)。


>  私は昭和四十六年以降、学会本部の副婦人部長を平成四年まで二十一年間、務めま
> した。そして、北海道の副総合婦人部長を昭和六十年以降、同じく平成四年まで務め
> ました。
>  その中で、婦人部が中心となる学会選挙を指導し続けたのです。
>  その経験からひと言でいえば、創価学会は「選挙のために」存在するのです。
> 「権力には権力。金力には金力」
> 「数こそ力。王仏冥合の戦いに勝ち抜け」
>  これが池田の口癖です。池田はことあるごとに選挙に勝つために幹部たちを叱咤し
> ていました。
>  つまり、創価学会は池田が国政を牛耳る野望のために存在する組織なのです。宗教
> の仮面を被った選挙マシーンといった方が正確でしょうか。
 (『週刊新潮』1996年3月7日号)


 信平氏は「折伏の鬼」と呼ばれるほどの実績を上げ、昭和63年(1988年)には広布功労
賞を受けている。F取りでも大きな成果を上げ、選挙の際、他の地域から招聘されたこと
もあるという。

 信平氏はF取りにおいて、公職選挙法違反に該当する行為であるにもかかわらず、それ
を「違反にならない」とする、ウソの指導が行われていたとも証言している。


>  しかし、どんなひどいことでも法律に違反しない活動ならまだましです。でも、創
> 価学会は平気で選挙違反をおこなっているんです。
>  例えば、戸別訪問。これを学会では、
> 「一軒ごとに飛ばして訪問すれば、公選法に抵触しない」
>  と教え込んでいるんです。
>  そのために、学会員はそれを信じて、精力的に戸別訪問を展開している。
>  しかも、哀れなことに、選挙違反で捕まったら、各個人で責任を取れ――というこ
> とが徹底されているんです。
 (同上)


 週刊新潮編集部は、戸別訪問について自治省選挙課へ照会しており、その回答も記事に
付されている。


>  大竹邦実・自治省行政局選挙部選挙課長の話。
> 「公選法一三八条が禁じている戸別訪問の定義は、たとえ一軒でも個別に家を訪問し、
> 投票を勧誘したり、候補者や政党の宣伝をしてはならない、ということです。一軒ず
> つ飛ばしていけば抵触しないなどというのはとんでもありません。もちろん特定の宗
> 教団体がある候補者に投票してもらうよう個別に働きかけることも許されません」
 (同上)


 創価学会による組織的な選挙違反については、別の証言もある。
 自民党の平沢勝栄代議士は、平成8年(1996年)と平成12年(2000年)の2回、公明党の
山口那津男氏と衆議院東京17区の議席を争った(平成8年は、山口氏は新進党から立候補)。

 平沢氏は平成12年(2000年)の衆議院総選挙に際しての、創価学会による悪質な選挙違
反の実態を著書に記している。

 
>  具体的に、彼らから私がどんな妨害を受けたか。
>  なにしろ公明党の得意技といえば、名にしおう人海戦術である。二、三人の組にな
> り、まず私に対する謀略・中傷ビラを、パーッと一晩で全戸にまいていく。しかし面
> 白いことに、私の熱烈な支持者のところは避けている。
>  この動員力は怖い。人通りのない夜間とはいえ、わずか一、二時間のうちに十万戸
> を超える家庭にまくには、どう考えても、千人以上動員していないとやり遂げられる
> はずがない。
 (中略)
>  ともかく、私はどれだけ、怪文書の類を流されたか、わからない。
>  そのうち、六月十三日の公示日の早朝、中傷ビラをまいていた男たちを、私の陣営
> の運動員が見つけ、警察に突き出したことがある。
>  亀有署に七人、小岩署に三人、連れていった。すると男たちから連絡を受けて、さ
> っそく身元を引き受けにきた人間がいる。公明党の都議と区議だ。
>  公明党と創価学会が中傷文書を流している、なによりの証拠だ。自分たちでやって
> いる汚いことを、堂々と公明党が認めたようなものである。
 (平沢勝栄著『明快!「国会議員」白書』)


 選挙期間中に頒布できる文書については、公職選挙法で規制されており、それ以外の怪
文書等をポスティングすることは選挙違反である。

 こうしたことを行っているのは創価学会・公明党だけに限らないが、千人以上も動員し
て、大々的に違法行為を遂行できる組織は、彼らくらいのものだろう。

 平沢氏は同書で、戸別訪問についても言及している。


>  相手の陣営がやったことのなかには、こんなこともあった。漬物を一軒一軒持って
> 回って歩く。漬物を配りながら、平沢はダメだ、ウチの候補をお願いしますといって
> 歩くのである。
>  これと同じことを、もし、わが陣営がやったら、これはもう大変な騒ぎになる。す
> ぐに警察に突き出されたにちがいない。
>  ところが、私の応援団というか、自民党の応援団は、人がいい。相手が漬物を配っ
> たからといって、すぐに警察に届けるような人はいない。ちなみにポスターでも相手
> の応援団は、私のポスターは一切貼らせてくれない。逆に私の応援団は、相手方から
> 「自公連立ですので」といわれると、すぐに相手のポスターを貼らせてしまう。
 (中略)
>  このほかにも、地方公務員でありながら相手候補への投票を呼びかけるといった、
> 明らかに地方公務員法違反の情報もいくつかあった。いろいろな違反を目撃した人は
> いるが、警察に通報しようなどという人はいない。まったくもって、自民党の応援団
> は人がいい。
 (同上)


 引用のような数々の選挙違反まで行ったにもかかわらず、衆議院選挙で平沢氏に2連敗
し、浪人生活を余儀なくされた山口氏だが、その後、参議院に鞍替えし、平成21年(2009
年)からは党首を務めている。

 山口代表が創価学会員が行ってきた違法行為について、どの程度認識しているかは分か
らない。

 だが、東大卒の弁護士という華麗な経歴を持ち、早くから公明党のプリンスとして期待
されていた山口氏の選挙戦からして、この体たらくだったのである。他の公明党議員につ
いても、その実態は推して知るべしであろう。

 すねに傷を持つ公明党代表は、山口氏ひとりだけではない。
 山口氏の先々代の神崎武法氏は、検事時代に創価学会による共産党への盗聴事件に関与
していたことが問題視され、職を辞している。

 辞書で「公明」という言葉を引くと「ごまかしたり、不正な事をしたりするなどの、人
目をはばかるようなことが少しもない様子」(『新明解国語辞典』)とある。

 ご立派な党名を麗々しく掲げてはいるものの、選挙違反といい、政教一体で池田大作の
支配下にあった実態といい、実際には「人目をはばかる」ことばかりだったのが、公明党
の立党以来の在り方ではないのか。

 そもそも「公明党」という党名は、「クリーンな選挙」を実現することを標榜して名づ
けられたものだったという。


>  ちなみに「公明」の名の由来は、直接的には、池田愛読の『三国志』に出てくる
> 「蜀」の将軍・諸葛孔明の「公明」の音から来ている。また、当時「違反しない、ク
> リーンな選挙を」という意味で、自治省は「公明選挙」と言っていたが、この「公明」
> という言葉も換骨奪胎する形で取り入れた(そのため、自治省は公明党結成後、「公
> 明選挙」という言葉を使えなくなったのである)。
 (古川利明著『システムとしての創価学会=公明党』)


 先月の参議院選挙でも、自民党は単独過半数の議席を獲得できず、公明党がキャスティ
ングボートを握る形となった。

 私としては非常に不愉快であり、社会にとっても好ましくないことだと確信するが、弱
小勢力が大局に影響力を行使するための策として、孔明が立案した「天下三分の計」を地
でいく形には、一応なっている。

 しかしながら、創価学会・公明党が実際に行ってきたことを見るならば、彼らは『三国
志』の孔明ではなく、『史記』の「鶏鳴狗盗」の故事の方に範を仰いでいると言うべきで
あろう。

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