2019年8月4日日曜日

F取りの実態1 ― 人脈台帳 ―

 選挙の際にどのような理由で投票先を選ぶかは、原則として個人の自由だが、ほとんど
の有権者は、政党が掲げる理念や政策、候補者の人格や識見、実行力などを判断基準とし
て、自らの票を投じるのではないだろうか。

 社会の構成員が、合理的な判断に基づいて投票することで、税金の使い道、実現すべき
政策、制定されるべき法律等についての、社会的合意の形成に関与できるということが、
選挙の重要な意義のはずだ。

 しかし、多くの創価学会員の投票行動は「公明党は池田先生が設立された党だから、そ
の党の候補者に投票すると功徳がある」という、個人崇拝と結びついた呪術的信仰に基づ
いてなされており、民主主義の理念からあまりにも逸脱していると言わざるを得ない。

 宗教と政治を一体化させていることは、創価学会問題の核心でもある。
 そこで今回から数回にわたって、学会員が行っている選挙運動、すなわち「F取り」に
ついて論じる。

 先に述べたとおり、創価学会は信仰上の重要な意義があるとして、公明党の選挙運動を
行っている。選挙は「法戦」と呼ばれ、公明党の候補者を当選させるために活動すること
で、「功徳(ご利益)」が得られると信じて、婦人部を中心とする学会員の活動家たちは、
猛烈な選挙運動を行う。

 創価学会では、投票日の一年ほど前から選挙準備が始まり、公明党の立候補予定者は、
挨拶回りのために座談会に足を運んだり、学会施設で講演したりしなければならない。

 元公明党参院議員の福本潤一氏は、1日で数十か所もの座談会を回ったこともあったと
述べている(『創価学会・公明党「金と品位」』による)。

 また、各地域の幹部も、地元の学会員を「選挙運動でどの程度使えるか」を基準として、
ランク付けするなどの準備を行う。


>  学会選挙は極めて精緻なシステムとして確立されている。
>  まず、選挙がある一年以上前に、県内の各本部で運営会議を開き、強化するポイン
> トやテコ入れ場所の分析を行い、それを幹部が自分の受け持ちの地域に持ち帰る。
>  このとき、学会組織におけるタテ軸の最小単位であるブロック(約十世帯)ごとに、
> そのリーダーであるブロック長(男性)とブロック担(女性)が、自分の指導してい
> るブロック内の学会員をA、B、C、マル外の四段階に分けた名簿(ブロック台帳)
> を作る。
>  ここで、Aは「F票を取る活動家」、Bは「とにかく自分だけは一票は入れる人」、
> Cは「投票所にも行かない不良信者」、マル外は「学会員ではないが、自分以外にも
> 票を取ってくれるシンパ」である。
>  このブロック台帳が選挙が終わるまでの、あらゆる活動の基準になる。これを各レ
> ベルの組織(ブロック、地区、支部)の責任者が絶えずチェックするわけだが、学会
> の選挙活動の根幹は、この「B」や「C」の人たちを、いかに「A」ランクの活動家
> に仕立てあげ、F票を積み上げていくかなのである。そして、この末端の情勢分析、
> 票固めの進展具合といった情報が、アッという間に県へ、さらには「信濃町中央」に
> 吸い上がるシステムになっているわけだ。
 (古川利明著『システムとしての創価学会=公明党』)


 一般の学会員が本格的に選挙体制にシフトするのは、投票日の3カ月ほど前からである。
 選挙に向けた決起集会の意味で活動者会が開かれ、そこで幹部から目標が示され、集票
活動の事前準備として、「人脈台帳」を作るようにとの指示が出される。

(出典:創価学会問題研究会編『創価学会婦人部』)

 人脈台帳や中学・高校の卒業生名簿等に基づき、電話などで投票依頼を行うのが、「F
取り」である。

 Fとはフレンドの略であり、投票依頼を行った相手は、返答の如何を問わずF票にカウ
ントされる。そのため、国政選挙では学会本部に報告されるF票の合計が、日本の総人口
を超えることもあるという。

 当然のことながら、F票の集計数は実際の公明党の得票とは乖離しており、票読みには
使えないが、活動家たちの士気を高める上では意味があるのだろう。

 確実な投票が見込める人を、「マルF」という。実際の票読みには使うのは、当然「マ
ルF」である(創価学会の票読みの正確さには定評がある)。

 創価学会は、近年では期日前投票を重視しており、公明党への投票を約束した人を投票
所に連れ出すことも行っている。


>  期日前投票へ非活やFを連れ出す行為は「Z]と呼ばれる。中には「足が悪い高齢
> の有権者を背負って期日前投票まで連れ出したこともある」という豪傑もいた。
>  総務省によると、「投票所に連れていく行為自体が直ちに法に触れるわけではない」
> (選挙課)。だがもちろん、その道中で投票先に介入したりする行為はご法度だ。
 (『週刊ダイヤモンド』2018年10月13日号)


 創価学会には悪質な選挙違反を行ってきた実態があり、「ご法度」に当たることが本当
にないといえるのか、懸念せざるを得ない。

 創価学会員による選挙違反と言えば、戸別訪問が代表的である。こうした問題点につい
ては、次回、取り上げたい。

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