十数年ほど前、創価学会は外資系のコンサルティング会社・アクセンチュアと契約して、
今後の布教活動の方針等について助言を求めた(高橋篤史著『創価学会秘史』による)。
それに対するアクセンチュアの提案は、「三代の会長」即ち、初代・牧口常三郎、第二
代・戸田城聖、第三代・池田大作への個人崇拝を教義の中核とし、創価学会にとって不
都合な過去を「無かったこと」にすることで、教団の正統性を訴えるというものだった。
創価学会が無かったことにしたい過去とは、牧口常三郎が戦争に賛成し、特高警察とも
協力していたこと、戸田城聖の詐欺まがいのビジネス、池田大作が高利貸しだったこと
や女性スキャンダル、「護符」と称するマジナイを大々的に行っていたことなどである。
こうした過去を封印するため、創価学会は「精神の正史」と位置づけている『人間革命』
を改訂したり、戦時中に発行していた機関誌を『牧口常三郎全集』から削除したりした。
不都合な真実を隠すことで正統性を偽装する宗教が「正しい信仰」と呼べるのだろうか?
創価学会と「大蔵商事」
大蔵商事とは、創価学会第二代会長・戸田城聖が作った金融会社である。この会社は経
済力のある学会員から資金を集め、貧しい会員に貸し付けていた。要は高利貸しである。
池田大作はこの会社の稼ぎ頭で、20代で取締役営業部長を務めたほどだった。池田の取
り立てには容赦がなく、債権回収のために病人が寝ている布団をはぎ取ることまでした。
ここでの働きが認められたことが、彼が後に第三代会長に上り詰めるきっかけとなった。
その後、創価学会は金を貸して利ザヤを稼ぐような回りくどいことはやめた。宗教のお
布施ならば、元手はほとんどかからず、しかも税金までかからないのだから当然である。
しかし、高利貸しの経験はお布施の集金にも役立った(創価学会では「財務」という)。
かつては「身ぐるみはいで御供養しなさい、金とケチると仏罰を受けます」が財務納金
を呼びかける際、学会幹部の決まり文句だった。また「貧しいものほど、宿命転換する
ために多く金を出すべき」とも指導していた。金貸し根性は相変わらずだったのである。
解説
高橋篤史氏は、創価学会がアクセンチュアから受けた提案について、『創価学会秘史』
以外でも述べている。『文藝春秋』2018年4月号に掲載された「創価学会『極秘資料』が
暴く負の歴史」から、当該箇所を引く。
> 創価学会はもともと日蓮正宗の在家信徒団体だったが、1990年代に宗門と決別した
> ため、その信仰を学会員の求心力とすることはもはやない。それにかわるものを学会
> が何に求めようとしているのか知ることができる格好の内部資料がある。08年6月に
> 外資系コンサルティング会社のアクセンチュアが学会の内部組織「ビジョン会議」に
> 宛てた提案資料がそれだ。
(中略)
> アクセンチュアの提案資料はそうした3代会長の事績を新聞・雑誌やインターネット、
> 展示イベントなど様々な経路を通じて学会員や社会に送り届けることを現代の広宣流
> 布と位置づけていた。そして、そのためのアーカイブ事業を確立することが取り組む
> べき大きな眼目とされた。ただ、そこには巧妙な仕掛けも用意される。「永遠の規範」
> や「歴史の証明」となるアーカイブ資料は「正当性を担保する仕組み」として認定委
> 員会の承認を経なければならず、そこでは「歴史を歪める資料」は却下されるのであ
> る。要は都合の悪いものは闇に葬るわけだ。
※ 「創価学会『極秘資料』が暴く負の歴史」は、『創価学会秘史』の要約にもなって
いる。インターネットで全文を閲覧できる。
高橋氏のレポートは興味深い内容だが、アクセンチュアの提案により、具体的にどうよ
うな歴史の改竄や、運営方針の転換を創価学会が行ったか、そのすべてが記されているわ
けではない。
また、創価学会が都合の悪い歴史をなかったことにするのは昔からのことで、何もアク
センチュアから指南を受けたことで、はじめて悪知恵を身につけた訳ではない。
だが、創価学会が平成25年(2013年)に、日蓮正宗を賛美する記述が削除された『人間
革命』第二版を刊行し、その翌年に日蓮正宗総本山大石寺の大御本尊を神聖視する教義を
取り下げ、さらに平成27年(2015年)、「三代の会長」を「永遠の師匠」とする会則変更
を行った件や、近年テレビで目にすることが増えた「ヒューマンな」イメージを前面に押
し出した聖教新聞のテレビCM等に、アクセンチュアの影響があったのではないかという
ことは、十分に考えられる。
を行った件や、近年テレビで目にすることが増えた「ヒューマンな」イメージを前面に押
し出した聖教新聞のテレビCM等に、アクセンチュアの影響があったのではないかという
ことは、十分に考えられる。
改訂前の『人間革命』にも事実を歪める記述が多数あったことは、当ブログで指摘して
きたとおりであるが、外資系コンサルタントの助言により、それがより洗練されたものに
なったということはありそうである。
戸田城聖は、戦時下にあっても醤油を塩水で薄めたり、酒に水を混ぜたりして売るとい
った阿漕なやり方で利ザヤを稼ぎ、ビジネスを拡大していた。
その戸田が戦後になって設立した高利貸し・大蔵商事で頭角を現したことで、創価学会
内部での地位を固め、若くして第三代会長に上り詰めたのが池田大作である。
創価学会の不都合な過去については、高橋氏の『創価学会秘史』以外にも、『池田大作
「権力者」の構造』(溝口敦著)や、『戸田城聖―創価学会― 復刻版』(日隈威徳著)
など、優れた内容の本が入手可能なので、創価学会員の皆さんも『人間革命』の内容をよ
り深く理解するためのサブテキストとして、手に取って見られてはいかがだろうか。
※ 戸田城聖のインチキ商法や、池田大作がそのノウハウを創価学会の運営に持ち込ん
だことについては、当ブログでも記事にしている。興味がある方はそちらもご覧いた
だきたい。