2019年10月20日日曜日

大石寺について

 大石寺(静岡県富士宮市)は日蓮正宗の総本山であり、開山以来、700年を超える歴史
を有する古刹である。

 破門される前の創価学会は、大石寺だけが日蓮の教えを正統に伝えているとし、「富士
の清流」と美称してその神聖さを喧伝していた。以下にその一例を挙げる。

(『聖教新聞』昭和29年〔1954年〕8月1日付)

 だが、日蓮正宗の信徒でも創価学会員でもあったことのない私にとっては、かつての創
価学会が「清純そのもの」だと主張していた大石寺のあり様は、相当にいかがわしいもの
に見える。今回は、そうした点について述べる。


1.御華水

 御華水とは大石寺の境内にある湧き水のことで、御本尊へのお供えものとしても用いら
れていた。この御華水について戸田城聖は、信者からの質問に応えて以下のように述べて
いる。


>  二十日も熱を出していた病人に御華水を飲ませた所、急に熱が下がって病気が治
> った。その人の親は信心していなくて、それは時期が来たから治ったというが、
>  御華水を飲ませれば病気は治ると、私は一遍も教えた覚えはない。水を飲ませて
> 治すというのは仏立宗や霊友会の教で当学会の教にはない。それは邪宗から転向して
> 来た者がいい始めたものである。
> 但し御華水は絶対腐らない水である。だから七百年の間大御本尊様に捧げる水はあれ
> に決まっている
>  初心者に対しては只当山には不思議な湧水があると教えれば良い。御華水によって
> 治ったのは偶然か、それとも信心の一念が水を通じて通ったものと思う。
 (『聖教新聞』昭和30年〔1955年〕8月7日付)


 戸田センセイいわく「絶対腐らない不思議な水」であるらしい御華水だが、この言葉を
信じて御華水を水筒に汲んで持ち帰り、それを飲んで食中毒になった者がいたため、後日、
大石寺では御華水を持ち帰ることを禁止したとの由である(植村左内著『これが創価学会
だ』による)。


2.御肉牙

 御肉牙とは日蓮が在世の時に自ら歯を抜き、相承の証として日興に授けたもので、代々
の法主に受け継がれてきたのだという。

 大石寺の寺伝によれば、広宣流布が実現した暁には、御肉牙が光明を放つことになって
いるらしい。

 この御肉牙の根元には歯茎の肉がついており、不思議なことにその肉が次第に増えてい
るのだとか……。

 宗祖や高僧にゆかりの品を伝えている寺院は多いが、このような奇怪なシロモノを「相
承の証」として有難がっている宗派は、あまりないのではないかと思われる。


3.大御本尊

 弘安二年(1279年)、日蓮が「出世の本懐」として作成したという木彫りの曼荼羅本尊。
楠の板に彫られており、彫刻したのは弟子の日法だという(以下、以前述べたことと重複
するが、ご容赦いただきたい)。

 日蓮直筆の曼荼羅本尊は120余り現存しているが、日蓮正宗の教義ではこの大御本尊と
大石寺法主が書写したその複製だけが、末法の衆生を救う力があるとされている(当然の
ことだが、他の日蓮系宗派はこの主張を認めてはいない)。

 かつての創価学会は、この大御本尊を拝むために「登山会」と称して大石寺に参詣し、
大御本尊とその複製以外のものを信仰することは「誤った信仰」だと主張していた(現在
では、大御本尊を拝む必要などないと言っている)。

 この大御本尊については、古くからその信憑性を疑う声が絶えなかった。
 私見を述べると、素人目に見ても大御本尊を本当に日蓮が作らせたとは信じがたい。

 まず、日蓮の真蹟遺文中に「出世の本懐」として、特別な本尊を作ったと述べているも
のなど一つもない。

 また、大御本尊は楠に彫られているが、弘安二年当時、日蓮が居住していた身延山には
楠は自生していない。

 さらに大御本尊は楠を平面に製材した上で彫られているが、板を平面に加工するために
必要な台カンナは、鎌倉時代の日本にはまだ伝わっていなかった(台カンナは室町時代に
中国から伝来した)。

 既に多くの論者が指摘してしている通り、大御本尊は後世の偽作としか考えられないの
である。


 以上、大石寺の胡散臭さを述べてきたが、大石寺に伝わるものが、何から何までマガイ
モノというわけではない。

 冒頭でも述べたとおり、大石寺は一応は由緒ある寺院であり、日蓮の真蹟遺文や日興に
よる古写本等も保有している。そうした物を「当山の寺宝」として誇るのなら、私にもま
だ理解できる。

 しかし、かつての創価学会が大石寺の宗教的荘厳を宣揚するために取り上げてきたのは、
食中毒の原因になる「御華水」や奇怪極まりない「御肉牙」だった。

 創価学会のようなインチキ宗教に引き寄せれられる手合いには、こうしたイカモノの方
が有難げに見えたということなのだろう。

 つくづく、関わり合いになりたくない連中である。


補足1 「御肉牙」についての寺伝

 創価学会がかつて出版していた『富士宗学要集』には、御肉牙について以下のような記
述がある。

> 一、日蓮聖人肉附の御歯一枚
> 又御生骨と称す、蓮祖の在日生歯を抜き血脈相承の証明と為て之レを日興に賜ひ事の
> 広布の時に至らば光明を放つべきなり云云、日興より日目に相伝し代々附法の時之レ
> を譲り与ふ、一代に於て只一度代替蟲払の尅之を開封し奉り拝見に入れしむ常途之レ
> を開かず。
 (堀日亨編『富士宗学要集』第五巻)


補足2 質問会について

 戸田城聖は「質問会」と称して、学会員からの質疑応答に応じる機会をたびたび設けて
いた。

 病気についての質問も多く、「ガンや結核の手術を受けるように言われているが、どう
すべきか」といったものもあった。

 そうした質問に対して戸田は、医師でもないのに「手術の必要はない。信心で治る」と
いった無責任きわまりない回答をしていた。

 戸田の言葉を信じたために、寿命を縮めた者も少なくなかったのではないかと思われる。
 こうした点についても、いずれ当ブログで取り上げたい。

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