2018年5月20日日曜日

本部職員の待遇と創価学会の財力

 前回も述べたように、かつては創価学会の本部職員はかなりの薄給で、幹部でも社宅住
まいを強いられていた。本部職員たちは池田大作に逆らえば、仕事ばかりではなく、住む
家までも即座に失うという、みじめな状況に留められていたのである。

 しかし、このやり方では本部職員によるマスコミへのリークや、内部告発を防ぐことは
できなかった。

 昭和55年(1980年)に『週刊文春』に連載された「創価学会最高幹部七人の内部告発」
や、昭和59年(1984年)に『週刊サンケイ』に連載された「小説 聖教新聞」は、その代表
例と言えるだろう。

 代表的な創価学会ウォッチャーだった内藤国夫氏は、昭和44年(1969年)に『公明党の
素顔』を出版したことがきっかけとなって、池田独裁の改革を望む本部職員からの情報提
供が相次ぐようになったと述べている。

 内部告発に踏み切った本部職員の気持ちを代弁するものとして、元顧問弁護士・山崎正
友氏の述懐を引く。


>  遠くから見上げていた時の池田大作は、実に立派に見えた。池田大作に言葉をかけ
> られただけで感激に身の震える思いがしたし、事実、池田の前で感涙を流す人達を数
> 限りなく見て来た。
>  だが、創価学会の中枢に入り、池田大作を舞台裏から見るようになってから、尊敬
> の念は日々うすれた。まして、〝ボロ隠し〟の数々を請け負うようになってからは幻
> 滅感を味わうことの方が多くなった。一方で、何も知らぬ善良な会員をだまし続ける
> ことに手を貸すことが、次第に空しくなってきた。私が求めていた宗教とは、実態は
> まるでかけ離れていた。
 (山崎正友著『懺悔の告発』より引用)


 尊敬していた「池田先生」は虚像に過ぎず、実際の池田大作は、これまでに当ブログで
縷々述べてきたようなペテン師・色情狂だという実態を、本部で働けば嫌でも目にしたり
耳にしたりせざるを得ないのだから、山崎氏のように感じる方が普通だろう。

 しかも、池田の独裁体制は強固なもので、声を上げようものなら追放される。教学部長
だった原島嵩氏や、副会長だった福島源次郎氏が長時間の直談判で池田を諫め、行動を改
めるように強く求めたこともあったが、池田はいっこうに反省せず、原島氏や福島氏の方
が学会にいられなくなってしまった。

 こうした絶望的な状況から、外部のマスコミを利用して池田の行動を制約しようと考え
る者が次々と現れたのであろう。

 さんざんマスコミからバッシングを受けて、さすがの池田大作も本部職員に対しては、
「ムチ」だけではなく「アメ」も必要だと気づいたのであろう。本部職員の待遇は次第に
改善され、昨今では平均的な給与所得者より恵まれたものになっているという。


>  創価学会職員らを被保険者とする創聖健康保険組合のデータによると、七四年の平
> 均年齢は二十九・二歳、標準月額報酬の平均は八万六千円。
>  標準月額報酬は、三カ月間の税込み給与の平均で、ほぼ給与水準を反映する。若い
> 組織だけに、全国平均より十五パーセント低い。
>  ところが、急激に膨張した組織は、年々高齢化が進んだ。
>  二十一年後の九五年三月には、平均年齢が四二・一歳に上がり、標準月額報酬は四
> 十三万六千円。全国平均を年齢で三・八歳、報酬で八万六千円上回る。
>  ちなみに、年齢や男女比の影響がないように、年齢と扶養家族数がほぼ同じ企業を
> 探すと、都内では新日鉄がある。同社の標準月額報酬は四十万六千円。学会の給与水
> 準は結構恵まれている。
> 「言論出版妨害問題や池田会長の退任、元幹部の造反、といった逆風が吹くたびに、
> 内部固めのために給料が上がった」
>  と、元職員は振り返る。
 (朝日新聞アエラ編集部『創価学会解剖』より引用)


 やや古い記述だが、現在の創価学会本部職員は一流企業並みの給与を得ているとみてよ
いだろう。

 そして、約300人いるという副会長の所得は、当然のことながら一般的な職員よりも恵
まれている。副会長になると、その年収は約一千万円だという(古川利明著『システムと
しての創価学会=公明党』による)。主任副会長などの上位の者になると、その数倍はも
らっているはずである。

 創価学会の専従職員は三千人弱いるらしいが、その人件費の総額は年間数百億円に達し、
予算に占める割合は決して小さなものではないだろう。

 学会員の中には、公明党議員の口利きで生活保護を受けて「功徳があった」とのたまっ
ている連中や、わずかな報酬で聖教新聞の配達を請け負っている者――「無冠の友」と呼
ばれる――も多い。

 貧しい者が少なくない末端学会員たちが供出した財務や新聞購読料から高給を受け取る
本部職員は、貴族的な特権階級といっても過言ではない。

 週刊誌等における創価学会への告発記事は、かつてと比べて減っている。その理由は数
々のスキャンダルを引き起してきた池田大作が、死に体となっていることもあるだろうが、
本部職員の待遇が改善されたこと、いわば搾取の受益者、池田大作の共犯者となったこと
で、マスコミへ情報をリークしようとする者が減ったことも大きいのではないだろうか。


 以前、「創価学会の財力」について当ブログに書いたが、準拠した情報がやや古いもの
であったので、今回はその点についても併せて取り上げる。

 今年一月の『週刊新潮』に「出し抜けの『サラリーマン大増税』を嗤う人々」と題した
特集記事が掲載された。その内容は宗教法人への財政面での優遇措置の再考を求めるもの
で、創価学会についても言及されており、ジャーナリスト・乙骨正生氏のコメントが載せ
られていた。当該コメントは以下のとおり。


> 「収益の柱としては、主に『お布施』『出版事業』『墓苑事業』があります。お布施
> の中心は、毎年12月に実施される〝財務〟で、1口1万円で上限なし。かつては4000
> 億~5000億円集まったといいますが、現在は1000億~2000億円とみられている。財務
> のほか、正月や大規模会合で集める『広布基金』もあり、こちらは年間100億円~200
> 億円が集まるとされます。出版事業は、主に公称550万部の機関紙『聖教新聞』の収
> 益で、年160億円ほどになります」
>  そして、墓苑事業。
> 「現在は1基100万円。全国14カ所の墓苑に3万基ずつとすると42万基で、収入は4200
> 億円になる。墓石などの例外を除き、永代使用料も非課税で、学会にとってはまさに
> 打ち出の小槌です。日蓮宗の年間予算が100億~200億円と言われており、学会は聖教
> 新聞だけで同程度の所得を得ているのです」
 (『週刊新潮』2018年1月4・11日号より引用)


 墓苑事業の収益は、42万基を一年で販売するわけではないので、これまでの累計額と今
後十数年の売り上げの総額として、4200億円が見込まれるということなのであろうが、そ
れでも年間百億円は下らないのではないか。

 また、往時と比べれば減ったとはいえ、財務や広布基金などの元手はほとんどかからず、
課税もされない「お布施」で、1000億円以上もの巨額を集める創価学会の集金力はやはり
侮れない。

 先に引用した『創価学会解剖』は、朝日新聞出版が発行する週刊誌『アエラ』の連載を
単行本化したものだが、その中に創価学会をやめた元本部職員が、「顔なじみの学会員に
三年あまりにわたって尾行や張り込みをされた」との記述がある。

 系列出版社の週刊誌には書けても、朝日新聞本紙にはこのような記事が載ることはない。
創価学会の持つ財力や組織力の前には、大新聞であっても沈黙せざるを得ないのだろう。

 何度でも言うが、創価学会は今なお悪質な人権侵害団体である。金や権力を背景に、力
なき人々を屈服させることを当たり前のように考えている危険なカルトである。

 残念ながらテレビや新聞が書かないからといって、創価学会の反社会性を甘くみている
人も少なくない。私も力なき草莽の一人に過ぎないが、それでも警鐘を鳴らし続けるつも
りである。