2017年12月31日日曜日

平成29年をふりかえって

 平成29年(2017年)も残すところ、きょう一日だけとなった。皆さまいかがお過ごしだ
ろうか。当ブログは今年3月に開設して以来、望外ともいえる多くの方に閲覧いただいた。
私の拙い文章を読んでくださった皆さまには感謝申し上げたい。

 さて、今年も国内外の様々なニュースが世上を騒がせた。主なものを思いつくままに挙
げると、北朝鮮の核・ミサイル問題、米国トランプ政権の混乱、国内に目を転じると、都
議会議員選挙、衆議院総選挙などの出来事が、連日のように新聞の紙面やテレビのニュー
ス・ワイドショーなどで取り上げられた。

 それらの出来事の中でも、問題の大きさの割には不自然に大きく報道されたのではない
か、と思われるニュースがある。森友学園・加計学園をめぐる報道である。

 この問題は、安倍首相夫妻と懇意にしている人物が経営する学校法人に対して、安倍首
相が便宜を図った、もしくは首相の意向を忖度した官僚が便宜を図ったのではないか、と
いう疑惑である。

 行政はすべての国民に対して公平でなければならない。首相との個人的関係によって、
〝えこひいき〟がなされるなど許されないことである。

 だから、こうした疑惑をマスコミが追求することじたいは、当然のことである。
 しかし、朝日新聞をはじめとする新聞各社や、テレビのワイドショーなどが、半年ほど
この問題を取り上げ続けたにもかかわらず、安倍首相の関与を裏付ける証拠は何もでてこ
ない。

 安倍政権がめざす憲法改正を何としも阻止したい左派メディアが、政権打倒を企て、事
実を歪めて報道したのではないか、と取り沙汰する向きもある。

 確かに賄賂をもらって便宜を図ったというような明白な不正があったわけでもないのに、
あたかも大疑獄のように報じるメディアの姿勢には、疑問を持たざるを得ない。

 私個人としても、左翼の活動家なのかジャーナリストなのか区別しがたい連中が、政治
的目的のために、火のないところに煙を立てるべく騒ぎ立てているだけなのはないか、と
いう印象を受ける。

 一方で、問題の大きさの割にマスコミの取り上げ方が過小ではないか、と思われる事象
もある。『文藝春秋』7月号に「都議選で生じた『自公亀裂』の行方」と題した記事が掲
載された(当ブログでは以前この記事を引用したが、再度引用する)。


>  ゴールデンウイーク明けの五月十日夕。皇居沿いのあるホテルの車寄せは高級車で
> ごった返していた。
>  スーツに身を包んだ男たちが、車を降りるや次々に上階のバンケットホールに向か
> っていった。
> 「ようこそおいでくださいました」
>  にこやかに出迎えたのは、公明党の石井啓一国土交通相だ。三十分近くも列をなし
> て待つ大小ゼネコンや建設会社の幹部ら一人一人とあいさつを交わした。
>  経世会の全盛期とは隔世の感があるとはいえ、大手ゼネコンは、いまだに自民党の
> 「選挙マシーン」の一つに数えられる。
>  そうはいっても、中央省庁再編で国交省が発足した二〇〇一年以降、のべ十年近く
> にわたって大臣を輩出してきた公明党の「動員令」に業界は逆らえない。まして現職
> の大臣が出迎え、名刺交換すると聞かされれば否も応もない。
>  会合を事前に耳にした自民党建設族の重鎮は露骨に嫌な顔をした。
> 「いくら必死の都議選だからといって、ちょっとやりすぎじゃないか」
>  許認可といいう、「生殺与奪」の権を握る所管官庁の大臣を投入するのは、本来で
> あれば禁じ手だ。


 平成29年度の国土交通省の予算は、一般会計と震災復興特別会計を合わせると、約6兆
3千億円にも上る。そして、その大部分が公共事業費である。

 巨額の予算と建設業の許認可権を握る国土交通大臣が、公共事業から利益を得ているゼ
ネコンの幹部を選挙前に呼びつけて、「名刺交換」を行う。「選挙ではよろしく」という
含みがあると考えるのは当然である。

 石井大臣が、この際に都議選での票の取りまとめを直接依頼したわけではないだろうが、
あたかも国民の税金で票を買ったかのようにみられても、仕方ないのではないだろうか。

 この件に関して、テレビや新聞が疑惑追及を行ったという話は聞かない。創価学会とマ
スメディアとの癒着の話は、ずいぶん前から耳にタコができるほど聞かされているのだが。

 テレビで聖教新聞のCMを見ない日はないといってもいいほどだが、聖教新聞社という
会社が存在しているわけではない。「聖教新聞社」と独立した企業のごとく称しているが、
聖教新聞社は宗教法人創価学会の一部門に過ぎない。

 また、聖教新聞の印刷を大手新聞各社が請け負い、そこから少なからぬ収益を得ている
ことも周知の事実である。特に毎日新聞などは、それなしでは経営が成り立たないほどだ
ともいわれる。

 こうした事情がある以上、テレビや新聞各社は、創価学会から広告宣伝費や印刷委託費
などの名目で金をもらっているので、創価学会・公明党に対して及び腰になっているので
はないか、言うなれば「忖度」しているのではないかと、疑いを持たざるを得ない。

 創価学会の反社会行為に関する報道は、かつてより確実に少なくなっている。それは彼
らが社会と折り合いをつけられるようになったからではなく、潤沢な資金力でメディアを
掌握しつつあるからではないだろうか。

 私は創価学会には、現在もなお反社会的傾向が多分にあると考えている。ただ嫌がらせ
などの手口がより狡猾になったことや、メディアや権力に浸透したことで、批判的言説の
流布を食い止められるようになっただけだ。

 創価学会の問題点については、当ブログでまだ論じていないことが少なからずある。来
年も引き続き、この反社会的カルトの害悪を訴えていく所存である。